2008年3月29日(土曜日)
左官の久住章先生のおはなし
若い頃から左官一筋でやってこられた久住章先生のお話を伺いました。
前半は世界各国の土を使った家や建築物の紹介。南米ペルー、メキシコ、アフリカのガーナなど、想像以上に「土の家」で生活している人々が沢山いることに驚きました。そのため、職人の数も大工さんよりも、左官屋さんの方が世界的にも多いのだそう。とりわけ日本の左官の仕事の繊細さは群を抜いていて、道具の種類も1500以上。左官の歴史の長さと職人の工夫の賜物といえます。
土壁の利点は、下地の竹小舞によって壁そのものが構造体になること。ゼンマイの強力な繊維質の縄で竹を組むことで振動や重圧に耐えることができるそうです。本当に良質な土壁は修理なしで数百年耐えることも可能です。土壁の仕上げ材料となる石灰はCO2を吸収する優れた機能も持ち合わせています。
今後、その性質をさらに研究して、効果的にCO2を吸収させる仕組みを開発したいと考えているそうです。とても夢のあるお話でした。
スライドでは久住先生のお父様の若い頃の写真を見せていただき、そこには昭和初期の大阪船場の粋な左官職人の姿がありました。それこそ「日本人の美意識」だと久住先生はおっしゃっていました。これからの時代には、こうした「日本人の美意識」を見直す必要があると、そして左官の仕事を応援するために「ぜひ左官応援団になってください!」と明るく締めくくられました。