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ワークショップ・見学会 活動内容

2009年9月27日(日曜日)

新潟県十日町「大地の芸術祭」作品見学会

川口豊・内藤香織出展「庭が生まれるところ」を見学して

冬は3mも雪が積もる豪雪地帯、新潟県十日町市峠。
はるか遠くに囲まれるように見える山々、覆われるように高い杉木立と急斜面の中、段々畑のように切り開かれた土地に点在する古い民家のひとつが今回の見学地でした。

とかく芸術というと他者と共存しない独特の主張のあるものが多い中、この作品は、新潟十日町とはこんなところ・・・期待を裏切られない、素晴らしい新潟に出会えた感じがしました。
大自然に囲まれ、つつましく暮らしている人が迎えてくれているような感覚におちいる庭がそこに造られていました。


東南には秋色に色づき始めた落葉樹の大木、南西には濃い緑の高い杉木立、その間〔南〕から淡い藍色に染まる遠くの山並みが見えました。木々の間から爽やかな風と優しい光が射し、なぜか懐かしく、温かいものに包まれているような気持ちになりました。

川口先生はおっしゃいました。
「自然のほうからたくさんものをいただき、つつましく人間が生活していくとどんなスタイルになるのか。大自然があって、里山がある。その内側に自分のスペースがある。
郷土の植物・土地固有植物を春から集め、雪国独特の水の重要性をも考えに入れ水の循環を考えた。石〔信濃川の採石〕を意匠的に入れ、周囲の山々をも含めたデザイン〔風景〕にした。
作品・庭とはこういうものだという固定概念が知らず知らずに出来てきているが、雑草・園芸植物の境界はあいまいで、扱っている人が手におえない植物は雑草とされている。雑草ハルジオンは江戸時代に外国から入ってきたときは園芸植物。現在緑化として重宝に使われている芝生は、雑草の野芝、海岸近くの高麗芝など。それら植物の固定概念をはずしたいとも話されていました。

人は大自然に生かされている。その中にささやかな囲いを作り暮らしている。
空から降る雪の雪解け水が清らかな水溜りを作り、そこに生き物が生まれる。そして流れ出し、緑の草、優しい花、緑の木々となり、美味しい空気を私たちに送り込んでくれる。それら全てをいただき、私たちは生きている。
これが「庭が生まれる」ということなのでしょうか。

それらを表現する細部の仕掛け、デザインを見つけるのも見所のひとつです。自然風の庭造りにとても参考になります。3年後、進化したこの庭がまたこの地で見られます。お楽しみに。

究極の「庭の意味」がここに詰まっていました。

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