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ワークショップ・見学会 活動内容

2004.11.13

土蔵と土壁の建物見学会

場  所 千葉県松戸市、東京都葛飾区新小岩
内  容 明治時代の移築蔵2棟及び
土壁+緑化の個人邸・土壁の老人ホーム見学
講  師 左官相談室「佐平」の平西先生
スケジュール
10:00 集合〜ギャラリー結花の土蔵見学
10:45 平西先生の左官講義
11:15〜 昼食 (弁当持参 or 結花でランチを注文)
12:00 移動
12:20〜 亀有 柴又帝釈天見学
12:50 移動
13:10〜 高砂 渡辺邸見学
14:00〜 新小岩 老人ホーム 清遊の家見学
15:00 解散

・ギャラリー「結花(ゆい)」の土蔵見学

最初に訪れたギャラリー「結花(ゆい)」は、構造建築家・増田先生のご自宅の隣にあります。所沢で解体される運命にあった明治時代の土蔵を、3年がかりで移築・修復し、この地でしっかりと生き返った建物です。

外側は漆喰白壁仕上げで、本当に美しい凛とした空気をあたりに漂わせています。

中に一歩踏みこむと、土間を思わせる三和土がゆったりと広がり、目の前には迫り来るような立派な梁が横たわっています。とても太くて重量感があるので、上に付いていても、寝そべっているよう。内部は、年月を重ねた木の柱と梁、アンティークランプからほのかにオレンジ色の光が溢れ、ほっと懐かしい心が緩む空間です。

ギャラリーとカフェはは奥様がきりもりされており、よく磨かれた床や、展示物、グラスのひとつにまで気を配り、愛情が行き届いているのをが見受けられ、本当に気持ちが良い。オーガニックランチの器には、庭に咲いた菊の花が添えてありました。

 

ここで、今回のWSにずっとご同行くださった左官の平西先生から講義をいただきました。先生はこのギャラリー修復時の左官仕事の総監督をされたので、思い入れも一層です。

現在でも建築物の左官の7割は土を原料としており、日本の左官の特徴は土の色をそのまま生かした仕上げにあるそうです。先生が日本中の業者やメーカーから集めたという、石や藁や砂など産地も様々の、彩り豊かな素材標本に一同感嘆のため息が・・!決して工業製品に感じることはできない、自然素材の名前のつけられない色。おいしいものを言葉で説明できないのに似ています。今ではナイロン素材や、樹脂を混ぜ込んで強度を上げるなど、現代建築に合わせていくことも左官業発展のためには重要とのことです。

〜先生のお話で印象深いお言葉〜
「左官の材料は全て廃材利用・加工、つまり無償のものである。」
「3倍のルーペを持ち歩いて、土壁に近づいて眺めれば、その美しさに一瞬にして虜になってしまう!」

その後、渡辺左官さんのご自宅へ。オリジナルで開発されたという、植生ブロックで作られた壁には、植物が元気に、もりもり育っていました。壁面緑化と左官を合わせた新たな素材となるに違いありません。

・「清遊の家」見学

最後に象設計集団の老人ホーム「清遊の家」を見学させていただきました。従来の職人仕事にはない、ラフで野性的で人間味溢れる土の壁に、左官業のひとつの未来があるように思いました。温かい壁に囲まれた生活は、一度体験すると居心地の良さにどっぷり漬かってしまいそうです。そしてやはり、できる限り自分の手で家を作ることをしてみたいとしみじみ感じました。    

 

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