境界、目隠し、装飾、演出、環境改善機能(防音・防風・防塵)、防災、緑視率の増加による街並景観づくり、グリーンネックレス(生物が棲める環境をつなげる)
日本の生垣は種類が豊富で、地方独特の風土景観を形成していた。
1970年代半ば〜:
ニュータウンにおける街づくりや街並景観計画によって、元々個人のものである生垣が、街路樹と同様の公共的役割を担わされるようになった。そして、計画による樹種の押し付け、手入れを嫌う消費者、業者による安価・大量流通などが原因で、形骸化した庭と生垣を大量に生み出すこととなった。1990年代〜:
ガーデニングの普及により、目隠しとしての生垣が減り、街並に緑と花が増えた。
庭全体のデザインの中に生垣も帰ってきたと考えることもできる。
日本の生垣は、形や使用される植物によって、それぞれに名称が付けられ変化に富む。しかし、現在新たに作られているのは、整形に刈込まれた壁状の形態のものが多い。
≪高さ≫
高垣、低垣 (あるいは高垣、中垣、低垣)
≪形態≫
(1)整形生垣(刈込んで一定の形状を作り継続的に維持する生垣)
・基本形:
最も一般的なウォール状の形
・玉つくり垣:
楕円形、球形、半円形、散らし玉づくり等のトピアリー的要素を含む形
・トピアリー垣:
生垣の機能とトピアリーの形態を一体として仕上げる
(2)自然形生垣
・ 基本形:
刈込みせず、樹形を製枝剪定によって整える
・ 自然形混ぜ垣:
複数の樹種を利用し、各々の樹形の特徴を生かして、製枝剪定する
・ つる垣:
フェンスやトレリス、塀などに植物を絡めて、あるいは吸着させて生垣状にする≪使用される植物≫
(1)竹生垣
生きている竹を植え並べる(ホウライチク、ナリヒラダケ、クロチク、カンチク、ヤダケ、オカメザサ、アズマザサ等)
桂離宮の生垣「桂垣」は生きているハチクを折り曲げて垣根(裏側は建仁寺垣)にその枝葉を編み込んで作った特異な形状である。
(2)つる垣
・ ブロック塀などに吸着:アイビー、ヒメイタビカズラ、ナツヅタ等
・ フェンスやトレリスなどに絡む
(常緑の葉)ムベ、ビナンカズラ、アイビー
(花)ハゴロモジャスミン、トケイソウ、テイカカズラ、ツルバラ、モッコウバラ
(3)混ぜ垣
複数の樹種を混植する。自然形、整形どちらの形式にも使われている。
常緑樹と落葉樹の場合、落葉期の視線の透過性を考えると、7、8割くらいを常緑樹にすると良い。≪使用される場所≫
(1)境栽垣
庭の中における異なる機能やデザインの違う空間を区切ることが目的。(道路と宅地、アプローチと庭、花壇の縁取り等)
(2)袖生垣
竹垣で作られる袖垣と同様の場所で使われ、一般的には視線を遮る事が目的。
長さの目安は、およそ1間(1.8m)以内で、2間以上の長さのものは、通常袖生垣とは言わない。
(玄関脇やテラス脇、まれに道路近くの部屋や階段の脇)