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広報/プレスリリース

雑誌「Bio City」(2004.06)

緑の家・北軽井沢プロジェクトについて掲載されました。

エコロジカルで心地の良いライフスタイルをつくってみよう

写真(風景)大きな規模ではありませんがちょっとした実験的なプロジェクトがはじまろうとしています。

碓氷軽井沢インターから長野県の軽井沢のメインストリートを通り抜け、草津温泉もほど近い群馬県長野原町の北軽井沢で1000坪ほどの土地に6軒位の循環型の長屋をつくろうというものです。

どこまでやる?自然エネルギー

自然エネルギーやパッシブソーラー、雨水利用など各種の適正技術を駆使して、できるだけゼロエミッションで環境と調和した建物をつくるのですが、ソーラーパネルやバッテリーなんかも使うのでゼロにはなりません。

また、東京から行くのにガソリンも使うので、それもちょっと問題があるかもしれません。完璧はなかなか難しいです。けれども、地域の電力会社から配電される33%の核物質・19%の化石資源に由来する電力(2002年)は導入しません。たいした量ではありませんが太陽や風や水の流れから電気をつくってもらいます。何しろひとつの実験です。

水道も引きません。水はおいしい湧き水を近くに汲みに行ったり、溜めた雨水を使います。風呂の水を洗い物に使ったりするのはもちろんですが、その先もなかなか素敵です。ディッチ(排水溝)を掘り、水耕性の植物を植えて浄化しながら貯水池までのビオトープにしようというプランです。もっともどこまでうまくいくかはわかりません。まず、やってみて確かめてみようと。薪ボイラーの写真

まだあります。熱です。屋根の温水パネルで水を温め、温度が足りなければ薪ボイラー(薪ストーブ兼)でさらに加温してお湯にします。お湯は風呂に使うほか、温水パネルヒーターの熱源に使われます。薪ストーブは暖房と調理に利用します。バイオマス資源としての間伐材が入手しやすい地域でもあります。もちろん太陽の温もりを直に蓄積するダイレクトゲインも忘れてはいません。

問題は炎です。調理に使うガスは、私たちの消化器官で処理された排泄物(要するにウンコとオシッコですね)をトイレからプラントに送り、そこで微生物にさらに発酵処理していただいてつくったメタンガスを使います。ちょっとやりすぎかもしれませんが、バイオガスプラントまでつくってしまおうという訳です。しかし、当面は炎をつくれるほどのガスはできないでしょうから、ご飯を食べるためにかまどに薪をくべるのはいいとして、(こっそりと?)プロパンガスを使わざるを得ないかもしれません。当面はガスの生産よりも畑に撒く液肥づくりのプラントとしての利用が中心になるでしょう。とにかくやってみて様子を見る。うまくいかなければ、別のやり方を採ってみる。うまくいったら、他所の人にも広めたい、そう思います。

今回の建設にあたって、実はまだ技術的な課題は全て解決してはいないのが現状です。試行錯誤しながらの出発です。既存のインフラに接続せず、どこまで自律循環型のシステムを構築できるか?そこまでしなくてもいいのかもしれない。けれどもやってみようというわけです。

さらに新伝統木構法の採用

適正技術だけではありません。まだあります。建築的な手法についても興味深い設計になっています。木構法構造の専門家である建築家・増田一眞氏の提唱する「新伝統木構法」と呼ばれる軸組構法を採用しています。

この構法は、寺社建築のように金物と合板を一切使わない日本伝統の木組みによる軸組構法と現代的な建築構造を合わせたもので、小径木の間伐材を有効に利用しながらフレキシブルな架構が可能なため自由な建築空間を実現することができます。剛なる部分と柔なる部分のバランスに依る伝統建築は東洋的な建築手法でありますが、これが先進的な構造力学との融合により現代の建築に新しい可能性をもたらせています。施工については、同構法の建物を何件も手掛けられている棟梁である三浦保男氏(長野県塩尻市 三浦創建)が当たります。部材を全て活かし、それを正確に施工する日本古来からの職人技までも見ることができます。

土壁を塗っている写真使う素材は出来る限り自然素材です。土壁も塗ります。そこまでしなくてもいいのではと思われるかもしれませんが、コーキング剤にまでこだわっています。なぜか?健康な方には理解しにくいことなのですが、化学物質過敏症の方は微量の化学物質でも反応してしまうのだそうです。そのような方の一時避難所としても使えるように材料を選ぶと天然系の材料が望ましいのだそうです。

今回着工するのは、集合住宅のうちの1軒です。そして、この建物は「緑の家学校」のワークショップやセミナーなどを通して、一般の方にも公開していきます。実際に循環型のシステムや新伝統木構法の建物を直に触れることができるセミナーハウスとして活用していきます。

ワークショップはオーガニックに

以上のようなその道のプロフェッショナルが担う部分に加え、一般の素人の方でも参加できる部分としてワークショップがあります。

川面の写真建築や環境づくりの作業を通してエコロジカルなライフスタイルについて何かを感じてもらう。月1回程度のプログラムを組み、自然エネルギーや新伝統構法の建設過程を眺めながら、豊な自然環境の中に集まりプロジェクトに関わる。作業に没頭するのもいいし、料理を作って人の世話を焼くのもいいかもしれない。いろんな話もするだろうし、川の流れを聞いたり、空を見たり、汗をかいたり、茫然としたり、何か新しいことに気付いたり、まあきっといろんなことがあるだろう。そんな風にいろんなことを感じたら、今度は自分たちが住んでいる場所を少しは素敵にできるかもしれない。だったらいいな。