私たちは毎日たくさんの空気を体内に取り込みます。そのため呼吸によって様々な有害物質も体の中に入り込みます。特に小さな子どもは空気の摂取量が体重比で大人の2倍にもなり、有害物質の影響も大きくなります。子どもの心と体をいきいきさせるためにも、いい空気はとても大切です。
杉はヒノキと同じ針葉樹ですが、空気の浄化作用はヒノキより杉のほうが優れています。杉には、水分や養分をポンプのように吸い上げる「仮道管」の空隙が多く、これが空気中の有害物質をしっかり吸収でき、空気を浄化する力が強くなる一因と考えられます。
木口と板目の2種類のスギ材を使って空気の浄化能力を調べてみると、木口のほうが大きな効果を発揮することがわかりました。この特性を生かすため、木材加工で木口面を多く露出させれば、よりパワフルに杉の力を発揮させることができると考えられます。
今の住まいはビニールクロスや複合フローリングの使用で、多湿と過乾燥を繰り返し、ビニールハウスの家に住んでいるような状態です。暮らしに快適な湿度は50〜60%で、湿度が70%を越えるとカビやダニが増殖しアレルギーの原因になります。杉には室内の湿度を一定に保とうとする調湿作用があります。これは杉の細胞が湿度が高くなると水分を吸収し、低くなると水分を放出する働きがあるからです。
杉は勤続やコンクリートに比べ、触るとあたたかく感じられます。これには「熱伝導率」が大きく関わっています。スギ材は熱伝導率(熱の伝わる早さ)が小さいため、優れた断熱効果を発揮。急激な温度変化を防ぎ、夏は涼しく冬あたたかい室内を作ります。特に床に使うと足に優しく、足元からも心地よさが伝わります。
スギ材は表面に微妙な凹凸があり光を拡散し、有害な紫外線を吸収します。木材から反射される光は程よい光沢となるので、目にとても優しく映ります。また、私たちが目から得る多くの情報は無意識のうちに脳へ伝わり、何かを感じ取ることから、木材は目に優しいだけでなく、脳を刺激するとも言われています。
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