緑の家学校

プロジェクト計画の背景

私たちの暮らしは、この半世紀に及ぶ著しい経済発展により一見すると非常に豊かになりました。しかし、一方では開発や公害による自然環境の破壊は言うに及ばず、私たちが住まう生活環境も大量生産・大量消費・大量廃棄の流れの中で流通し続ける化学物質や農薬などの影響により健康を害する要因に囲まれてしまいました。さらに、都市一極化と過疎地域の衰退、コミュニティの崩壊と疎遠な人間関係、減ることのないゴミの問題など便利で豊かな暮らしの背後には様々な問題があります。こうした犠牲を払い続けなければ、私たちの暮らしは成り立たないのでしょうか。

地球の生態系は、大気、水、鉱物、土壌、生物及び菌類などの間でエネルギーと物質が循環することで成り立っています。しかし、現代の大量消費型の社会では、経済効率を優先するあまりこの循環を損ねているのが現状です。この状況が続けば生態系のバランスが完全に崩れ、生命の生きる環境さえ失われる可能性があると警鐘を鳴らす識者もいます。このような状況から、健全な自然環境を取り戻し、健康的な生活環境の中で暮らすことができるような社会を形づくっていくことが求められています。

既存の大量消費型の社会システムから、一度にこのような循環型の社会システムに移行していくのには時間がかかるかもしれません。しかし、小さな仕組みであれば一人ひとりが今いる場所から始めることができるかもしれません。

　そこで私たちは、私たちの暮らしに密接に関わっている家と庭のあり方から始まって一戸建て、集合住宅とその周辺環境の改善から着手することにしました。

自然エネルギーなど適正技術の発達が人々の環境に対する意識を変え、私たちの目指す循環型の豊かな生活ができる社会を手に入れる日は近いと思います。自然素材の住宅への要求の高まり、ガーデニングの普及は私たちの暮らしをより良くしたいという希求に他なりません。快適であり、自然と調和しているライフスタイルです。そしてそれらは、その先にある循環型の社会へと続くものなのです。